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初日はオススメの車種の説明と、カタログを渡しただけに終わった。 「又、来るわね」 社交辞令だと思ったが言葉通り、数日後津久井から予約の電話が有った時は、やった!と思った。 名刺から津久井の会社は調べてあった。 数多くの芸能事務所と取引してる。 専属のヘア&メイクアップアーティストを抱え、派遣してる様だ。 彼一人で来店予約の時間に現れた。 この日も津久井の服装はハイブランドで、ラフにキメている。 「いらっしゃいませ、津久井様。本日、お父様は?」 「父は車の件は私に任せるって」 感触がイイ。 この時私は津久井の父、園田の会社の事は知らなかった。息子の方と違って、先日名刺を頂けなかった。 津久井は渡したカタログの中から、気になるヶ所を質問してきた。随分スペックを読み込んでる様だ。 「この車と、あの車、迷うわ~」 「試乗されてみます?お電話でこちらをお気に召してるご様子だったので、この車だけ手配していますが、お時間は?」 「あるわ。手際が良いのね」 そう言い、彼は目を細めた。 試乗後やはり、もう一方の車も気になるという事でHPからの試乗予約を案内しようとすると、 「佐竹さんの都合が良い日でしましょう」 客の都合に合わせてが多い試乗なのに、私の都合に?訝しく思いながら、次の休みの前日に予約を入れた。
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