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今も、この日の母と智美さんの会話を覚えてる。それだけ衝撃的な内容だったのだ。 母と俺と彼女は、商店街の中にあるビーンズという喫茶店に入った。 母の隣に座り『昔話するのに俺、必要?』って小声で尋ねると、 「居なさい。これからの話だから」 と??疑問符だらけの答えがきた。 三人分の珈琲が来る前に、女2人の静かな綱引きが始まった。 「園田は相変わらず?」 「ええ、元気にしてるわ。でも何で私が実家にいるって知ってたの?」 「ふふ。これでも色んな方とお付き合いあるのよ」 彼女は俺の顔を盗み見る様にして 「清良…結婚したの?」 「してないわ。幹は一人で育てたの」 息をのむ彼女を直視しながら、母は続けた。 「気付いたと思うけど、園田の子よ」 「父親はいないんじゃなかったのかよ?!」 俺が今まで何度父の事を聞いても、だんまりだったのに突然俺にではなく、昔の友人らしい女性に打ち明ける、涼しい顔の母にブチキレた。 そこへウェイターが珈琲を持ってきて、俺の怒りに水が差された。 「生物学的に居ない訳ないでしょ?」 カップに口をつけながら冷静な母と反対に、智美さんの手は小刻みに震えてた。 「…園田は知ってるの?」 「教えてないから、知らないんじゃない」 俺は拳を膝の上で強く握った。 「智生より年上よね?いくつ?」 俺を見る彼女の目が冷たい。答えようとする俺を遮り、 「認知してくれって話しじゃないわよ」 母が鷹揚に言う。 智美さんは唇を噛みしめ、 「じゃ、何故今頃?」 そう、それは俺も聞きたい。
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