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それから、今まで本当に色々な事があった。
結局、智美さんが旦那である園田に打ち明けて、夫婦2人で我が家に来た。
俺を『認知する』という2人の主張に、母は反対した。
「今更そんなつもりで行ったんじゃないわ。智美は私から何でも取り上げるのね?今度は家族?」
母は髪を手櫛で玩びながら、男の方でなく女の方を見て妖しげな流し目をくれる。
不安そうに母と自分の妻を見比べる園田。
この男が俺の父親か…
初めて彼に会った感想は、将来俺も智生も禿げるんだと思った事。頭部に薄く残っていた髪が、軽くカールしていた。
若い時この三人の間に何が起こったかは、知りたくない。
家族ごっこする為の戸籍を変える手続きや、その後のゴタゴタも面倒だ。
「俺の意見も良い?」
「勿論だとも!」
渡りに船とばかり、園田が相槌を打つ。
「俺はこのままが良い」
鶴の一声だった。
母は俺が園田夫婦に会ってから、母の面を捨てた。
もう必要ないとばかり、それまで守ってた一線を越えた。
帰宅の際、明白な匂いがした。
数多の人に跨がったのだろう。
自分の子を、愛しい人の為のスペアだと言いきった女。
あの時は湧いた怒り、憎しみ、虚脱感。
そんな全てを抱えても、母や母の店を取り巻く淫靡な空気が俺の性に合ってた。
俺自身どうしようもない人間なのだ。
だからこんな風に、俺の胸板を叩き暴れる女の両手首を押さえつけ、乳房を握り、欲望の塊を捩じ込んでいる…
これまで無理矢理セックスしたことはない。皆、円滑な同意を得てした。その方が快楽が深いから。
なのにイレギュラーなタスクを終え安堵から、酒席で酔った佐竹ちゃんを自室に連れ込み、この有り様…
彼女を俺に縛りつけたい。
その夜、狂った様に彼女に楔を打った。
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