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なんで! どうして! こんな事に? 1時間半前、打ち上げの席で津久井から 「佐竹ちゃん、私と一緒に住も」 なんて悪ふざけが過ぎる提案を受け、即座に却下した。 だが彼は、 「佐竹ちゃ~ん貴女これから発生練習や立ち振舞のトレーニング、諸々詰め込んで売れる様にしてかなきゃならないのに、家との往復で疲れた芸能人なんて誰得?」 確かに私が借りてるアパートは、アクセスが悪い。決まった時間の通勤なら問題ないが、ピークを過ぎると途端に交通機関の本数が少なくなる。 しかし契約書に住所を書いたのは今さっき。その場に津久井は居なかったのに又か!? 「津久井さん!前から言おうと思ってましたが、私の身の回り調べるの止めて下さい。気持ち悪いし、感じ悪いです。知りたい事は直接聞いて下さい」 私が彼をヒタと睨みながら忠告すると、 「ああ怖っ~だって佐竹ちゃんに聞いたって、素直に教えてくれないでしょ?」 津久井は拗ねた様に唇を尖らす。 最近彼が作り始めた顎髭と相まって、本当にソッチの人みたいだ。 私は黙っていた。 そんな私に真面目な顔した津久井が、 「とにかく事務所と近いとこに住む!鉄則」 「…あの辺家賃高いじゃないですか、無理ですよ」 「だから私と住もうって言ってるの。事務所に近いし、トイレとシャワーブース付きのゲストルームがあるから」 どんな豪邸だ…でも、 「結婚してない男女が一緒に住むって、どうかと」 「佐竹ちゃん頭、ふ~る~い~」 そう言ってケタケタ笑ったかと思ったら、急に壁ドンして 「私の事、男として見てくれるって訳?…光栄」 と耳元で囁いた。 「ま、一度見に来なさい」 津久井はそう言い置き他の人の所へ行った。 彼に振り回されてる感がある。 私が一番嫌いな状態。 それからモヤモヤして、私はうっかり杯を重ねてしまった。
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