幸せ…なのかな?

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…だけど最近、私は些かこのルーティンに疑問を感じていた。 まるでベルトコンベアに載せられたサカナが缶詰に加工されていくかのようなその一連のルーティンに、果たして愛はあるのだろうか…と。 そう思っていた私の前に、ある男性が現れた。 私の働くカフェにバイトで入ってきたタケルだ。  まだ大学生の21歳。私より6つも歳下。一見クールだけど人懐っこい笑顔の持ち主で、笑った時にチラッと見える八重歯が眩しい。 雅也とは一週間に一度しか会えないけど、タケルとはほぼ毎日顔を合わせている。 私の心にできていた心のその隙間を埋めるピースをタケルが持っていることに気づき、そして実際にその隙間を埋めてもらうようになるまで、そんなに時間はかからなかった。 そして、経験に乏しい初々しさと、若さに任せた荒々しさを武器に、いつも雅也とのルーティンをこなす“ベルトコンベア”でもあるベッドの上で、私に染みついてしまったルーティンをブチ壊してくれる彼に、ルーティンを外れる楽しさと背徳感も相まって私も次第に嵌っていく…。 でも私は、今週も雅也の腕枕の中にいる。 雅也とのルーティンを守るために、私の凝り固まったルーティンをブチ壊してくれるタケルの存在が必要なのだと、ずるい言い訳を胸に秘めて。
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