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幸せ…なのかな?
一週間ぶりに私の部屋に来て、夕食の後、ベッドに並んで腰掛けていた雅也が、不意に黙り込み、私の顔を覗き込んだ。
いつもの“ヒメゴト”の始まりの合図だ。
ベッドに並んで腰掛けた時点で、今夜も“まあそうなるんだろうな”って分かってるって言えば分かってるんだけど。
これから先は、もう何回もルーティンのようにこなしてきた“作業”
啄むようなキスから徐々に深いキスへ。
大学の同期で、出会った頃はお互いに経験に乏しくて、鼻が当たったり、顎をぶつけ合ったり、時には歯が当たったり。
初めの頃はマンガやアニメで得た知識で、キスの時は目を閉じるものだと思っていた。
でもそうじゃないと知ったのはいつの頃だろう。
今ではお互いムードを壊さないようお互いに気を使いながらも、薄目を開けて距離感を測り、微妙に角度を調整しているので、唇と舌以外が当たってシラけるようなことはない。
そのあとはいつものように私がベッドに押し倒されて、一枚一枚衣服を脱がされていく。
一枚脱がすたびに啄むキスを挟みながら、彼は優しく脱がせていく。
因みに電気を消すのは、いつも私が下着姿になってから。
でも私が恥ずかしがる姿を彼なりに堪能し終われば、黙っていても彼の方から電気を消してくれる。
その後はまた優しく啄みながら徐々にキスは下へと移っていく。
いつの頃からか私は、彼の手が私の背中に回ろうとするタイミングで、ブラのホックを外しやすいように軽く背中を持ち上げるようになっていた。
そしてその後も、彼の指先の動きに合わせて、右肩、左肩と交互に持ち上げて肩紐を抜くのを手伝う。
彼の手が下腹部を通過すれば、今度は、彼が片手でずらしやすいようにこちらも右左の順に軽く腰を浮かす。
こんなこと、いつの間に覚えたんだろう。
自分でも不思議な、自然に身についたルーティン。
その後の彼の行動も、いつもと寸分違わぬルーティン。
いつもと同じ順番で自分の服を脱ぎ、私に“奉仕”させた後は、私の中に入ってきて、いつもと同じ順で体を入れ替え、最後は仰向けの私に覆いかぶさるように終える。
そして“ヒメゴト”の後は、彼の右腕で作った枕で、今週一週間の会えなかった間の出来事をお互い語り合うところまでが、ルーティンのワンセット。
いつの間にか、言われなくても自然にそう動くように、体に染みついてしまっているルーティン。
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