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「そっか。ちゃんと治療してるなら大丈夫だよね」
ほら。
「なので、出来るだけ黙っていてくれると嬉しいです。人に変に気遣いされるの申し訳ないじゃないですか」
これは流石に本当その2。
自分で治療しないことを決めたのだから、そんな風に心配されるのはこっちも心が痛む。
「分かった。でも、いざとなったら救急車に叩き込んでやるからな。その時はちゃんと旦那さんに連絡入れるから観念しろよ?」
「あははは、先輩、その言い方じゃまるで……ま、るで……」
ふざけた声で発せられる先輩の声に背筋が凍った。だって、その言い方はまるで……
「お前、病気だよ」
口の中が異常に乾いていた。きっと歯茎から血が出ているだけだ。ほら、血って乾いたらポロポロと塗料みたいに落ちていくじゃん。血糊とかもそうじゃない。ほら。ほら。
そう思ってないと膝から崩れ落ちてしまいそうだった。自分すら騙していないと叫び出してしまいそうだった。
「やだなぁ、ちゃんと治療してますよ、部長。心配しないでください」
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