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◇◇◇
それでもボロは出てしまうようで。
ある日、会社の洗面所で血を吐いている姿を同僚に見られてしまった。
「あはは、凄いでしょ。さっきランチで口の中切っちゃったみたいでさ」
嘘その6・7
・口の中を切ったわけではない。
・そもそもランチはダークチョコレート一粒だった。
同僚は尋常じゃない血の量を見て、少し混乱してるようだった。その隙に水で流して、何事もなかったようにその場を去るつもりだった。
しかし、不可抗力はコントロールできないから不可抗力なのだ。
鼻血が一滴、ブラウスに落ちた。血がついても目立たないように黒や紺の服を着ることが多くなったが、目の前でその姿を見られては意味なかった。
「ねぇ……それ……」
同僚は震える声で呟いた。
「病気だよ……?」
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