ぬくもり

1.朝

今日はかあちゃん、怒らない。
今日は優しいかあちゃんだ。
よかった・・。
私がくしゅくしゅと鼻をならしていると、
かあちゃんが私の汚れ物を洗う手を止めて、私の頭に手を置くと、ぽんぽんとしてくれた。
「泣かなくていいのよ？ほら、洗って乾したら綺麗になるわ」
「かあちゃん。ありがとう」
私が小さな声で言うと、かあちゃんはにっこり笑ってくれた。
「お風呂からあがったら、朝ご飯にしましょうね。
今日はお友達のところにゆくのでしょう？」

かあちゃんがお日様の匂いのするふわふわのタオルで体を拭いてくれると
気持ちのいい服を着せてくれた。
私の好きな大きなお花の模様のワンピース。
鏡の前で髪の毛を梳いてくれると、
いつもの幸せな顔の私が鏡からほほえみかけた。

「お洋服汚れちゃうから、エプロンして食べましょうね。」
食卓には、あったかなお味噌汁と、ちいさく取り分けてくれた塩鮭と
お出汁のかかったお豆腐。私の大好きな栗ご飯。
お出かけするから早く食べたいけれど、
かあちゃんがゆっくり食べてね、とみている。

栗ご飯は甘くておいしい！
美味しいね、というとかあちゃんは嬉しそうに笑う。