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「布団、乾しておいたよ。」
大きな男の人が急にお部屋に入って来て、私はびっくりする。
かあちゃんが、安心してというように、私の手を軽く握った。
「ありがとう。」
かあちゃんが男の人に言う。
その人は暫く私をじっと見つめる。
私は怖くなって、かあちゃんの手をぎゅっと握り返してうつむいた。
その人はため息のような声をだしてまた部屋から出ていった。
「大丈夫よ。怖がらないで。」
私は泣きそうになりながらかあちゃんに聞く。
「あのおじさんはだあれ?」
かあちゃんは悲しそうな顔で首を振った。
「さあ、ご飯食べてしまいましょう。もうすぐお迎えがくるからね?」
かあちゃんがスプーンで栗ご飯の小さな栗をお口に入れてくれた。
直ぐにお迎えのチャイムが鳴って、
かあちゃんと車の運転士さんがよいしょ、と車に乗せてくれる。
もうお友達の小夜ちゃんや、たかちゃんが車の中でおしゃべりをしている。
私は笑顔のかあちゃんに手を振る。
「いってまいりまーす!」
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