1.朝

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「布団、乾しておいたよ。」 大きな男の人が急にお部屋に入って来て、私はびっくりする。 かあちゃんが、安心してというように、私の手を軽く握った。 「ありがとう。」 かあちゃんが男の人に言う。 その人は(しばら)く私をじっと見つめる。 私は怖くなって、かあちゃんの手をぎゅっと握り返してうつむいた。 その人はため息のような声をだしてまた部屋から出ていった。 「大丈夫よ。怖がらないで。」 私は泣きそうになりながらかあちゃんに聞く。 「あのおじさんはだあれ?」 かあちゃんは悲しそうな顔で首を振った。 「さあ、ご飯食べてしまいましょう。もうすぐお迎えがくるからね?」 かあちゃんがスプーンで栗ご飯の小さな栗をお口に入れてくれた。 直ぐにお迎えのチャイムが鳴って、 かあちゃんと車の運転士さんがよいしょ、と車に乗せてくれる。 もうお友達の小夜ちゃんや、たかちゃんが車の中でおしゃべりをしている。 私は笑顔のかあちゃんに手を振る。 「いってまいりまーす!」
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