18人が本棚に入れています
本棚に追加
前の記事が、ストレス全開で刺々しいですね(笑)
※今回、掲載するか迷っていたので、けっこう前に書いた記事です。
さて、昨日の記事でいくつかほったらかしの要素があります。
・スピルバーグの予算は、なぜ低いのか?
これに加えて、彼は非常に早撮りで、撮影や仕上げ、作業工程が他の監督に比べてべらぼうに速いという特性もあります。
ここを補足しようと思ったのですが、昨日と同じレベルで刺々しくなったので説明しません(笑)
外縁だけを述べると、世の中には「普通はこれが必要だ」という感覚があるようなのですが、この「普通」が理解できない人種がいます。スピルバーグは明白にこの人種で、私もこの人種です。
この人種の人達には「普通」が伝わらないので、極端に針が振り切れる人が多いです。
予算の話で言えば「極端に低予算」か「極端に莫大な予算」かに振り切れます。
スピルバーグ、宮崎駿、私もですが、「低予算」に振り切れます。仕事上色々な予算組をしましたが、予算オーバーは一度も無い……というか、半分も使わないですね。
納期も同じで「納期前」に納品します。かなり極端に短納期です。
逆に、高畑勲氏などは「長納期」「大予算」の人ですね。
この辺りの感覚には1mmも共感が無く、むしろ「そうしろ」と言われると発狂するかもしれないです。
そんなに長時間、一つの作業に付き合えない。
私はシリーズ物が苦手で、十万字以上書こうと思ったら主人公一人では無理です。毎回主人公や世界観も変えてリスタートさせなければ、一冊書けません。
これを前提に、プロットを考えています。
スピルバーグも同じで、世界随一の大御所なのですが連作を嫌う作家としても有名です。ジュラシックパークなど「2」とか色々出ていますが、監督は彼ではありません。制作総指揮です。
バック・トゥ・ザ・フューチャーも、監督ではなく「製作総指揮」です。
映画の要は「監督」であって、現場もシナリオも何もかも、もっとも関わるのが監督です。
でも、彼はそれを拒む事が非常に多い。
私は完全に共感できる行動なので、ズバリ語ります。
始まる前から、飽きてるでしょ?
この人種……もう面倒なので言っちゃうと自閉症云たらかんたらの人達って、初速に全力を次ぎ込むので、プロットがピークで、いざ作業に入るとその頃にはどうでも良い作品になってる場合が多いんですよね。(厳密には、もう他の事に興味が向かっている)
だから、簡単に物語や信念を変えられます。
なんなら、他者が書いた作品と自作の判別が付きません。(これは私だけかもしれないですが)
最後までモチベーションを維持するのが大変で、だから早く終わらせたいし、無駄なPRとかで予算使ったりするのが嫌なんです。(予算を使う以上は関わる事になりますから)
後、印象的なハデハデ映像が入るのは、実は作品の為ではなく、刺激が無いと自分が飽きちゃうからです。自分のモチベーション維持の為です。
だから、監督とか一から十まで関わる仕事は苦手ですし、それが栄誉だとも思わないので「世界的に待望されていても」これを他者に任せちゃうんです。
これ、どういう根拠でスピルバーグをそう断定しているの?
って思われるはずですが、んなもの、観れば分かるんです。こういうのって先天性の話なので理解が難しいでしょうが、近所に同類が滅多に居ないので、たまに出会う同類は一瞬で分かるんです。対面した事なんかなくても。
で、この人種にも色々タイプがあり、宮崎氏などのように「全てを自分一人でやらないといけない」と考えるタイプの方と、スピルバーグとは違います。ですが、「なぜ、全てを一人でやらないといけないのか?」については、明白に理解しています。私も職場ではそっちタイプで、基本、人に仕事は任せません。
費用対効果が悪いからです。
私の書評やこの記事もそうですが、「やけに根拠や合理性だけを書いてくるな」って感じだと思います。
これしかできないんです。
人と人の繋がり、もしくは社会を埋め合わせる「なんとなくのアレ」が、根本から理解できない人種です。生まれた頃から、一度も共感した事がないです。
共感できないから、アインシュタインのように数式を使い、宮崎氏のように絵で動かし、イチローのように自身に籠り、スピルバーグのように過度な刺激を求めるのです。
あぁ、そうそう、スピルバーグの短納期主義、低予算主義、連作しない主義、監督しない主義は、そんな事よりも色々なタイプの作品を世に出して、その賛否を知りたいという「営業ギャンブル」にハマっているからだと思います。
「営業ギャンブル」は、私の造語ですが、営業の売れた売れないって、ほぼギャンブルなんです。何もしてないのに売れる時もあれば、心底丁寧に対応したのに全く売れない時期もあります。
大抵の人は、これが嫌で営業職はしたくないと言います。
これが楽しいから、営業職やってます。
日々思いますが、こんなの過度なストレスで、自分を追い詰めているだけなのですが、この刺激が無いと仕事を続けられないんです。
一年だけ「営業外」の部署をしていた時期があり、確かに精神的には楽だったのですが、刺激が無くて逆にそれが辛くなって営業に戻してもらいました。
この理由で営業部に戻る人間は、そうそう滅多に居ません。
スピルバーグも同じです。あれだけビッグタイトルがあるのですから、その連作だけしていれば、人生1000回分くらいの収益があるはずです。
でもやらない。
やれない。
「この作品と同じ設定で、次回作を……」なんて言われたら、発疹出るはずです。
本当に嫌だ。嫌だ。絶対に嫌だ! っと、駄々っ子になるはずです。
完全に、同感です。
宮崎駿氏が「ナウシカ2」を作らない理由も、これだと思ってます。というか宮崎さんはホント分かりやすくこれをしますよね(笑) 同感です。
……。
っと、いう事で、本当はこの辺りの話をスピルバーグの作品を絡めてまろやかに語っていくつもりでしたが、面倒臭いので核心だけを抜き取ってしまいました。
本編はここからです。
要は、スピルバーグって人は設計士であり、大工さんでは無いんです。家を作る時、設計士が図面を引きますが、実際に作るのは現場の職人さん達です。
設計士も色々なタイプがありますが、往々にして、現場には一切来ません。
自身が設計した建物を、見物する事が無い場合も多々あります。
それでいいし、それがいい。って思っているタイプの人です。
こうしたタイプの人間にとって、「王道」って使いやすいんです。
最大利点は、「現場指示しなくてもいいから」ですね。全くしない、ではなくて、その負担を減らす事ができるって意味です。
王道以外の事をやろうとすると、色々とスタッフへの説明が必要になります。一般視聴者への説明も必要になります。プロモーターへの説明も必要になります。
その気力は、無い!
だってこちとら、かなり前から飽きてるんですから。なんとか紙一重でモチベーション維持してやっているのに、そんな説明とか面倒すぎます。
だから!
→ 全部自分でやる
→ 全部人に任せる
という選択になるんです。
人に説明するのが面倒だから全部自分でやる(宮崎氏タイプ)
そもそもやらない(スピルバーグタイプ)
これを解決するには、そもそも伝わり辛い事をやらないくて良い分けで、「王道」しておけばいいんです。
面白いものを作るという基準に、王道か奇抜かなんか関係ないです。
受け入れられたか、受け入れられなかったか、これだけが「面白い」の基準です。
であれば、王道の方が良いに決まっているのです。
宮崎駿のような宇宙人であれば、全力で王道をやっても意味分からない作品にしかならないので、丁度良い塩梅です。
スピルバーグのような飽き性なら、「面白いところだけを抜粋」する合理性の塊になります。
どちらも異形です。
特に異形は、スピルバーグだと思います。
宮崎氏のような剛腕宇宙人は、実はけっこう居ます。というか、作家と呼ばれる人達は大抵コレです。そのバトルスタジアムで、チャンピオンってだけです。
スピルバーグというのは、結果を求める営業ギャンブルにはまったジャンキーであり、この精神状態は起業家と同じなんです。
これを「作家性」と言わしめるまでに昇華させた結果、世界一売れている作家になりました。
私もギャンブルジャンキー、飽き性です。
まだ体力のある尖った若人時代には、これの意味が上手く咀嚼できなくてスピルバーグはあまり好きではありませんでした。
ですが、体力が衰えた近年では、めっきり共感ばかりが生まれています。
彼のような合理性、かつ作品内で遊びができるのは、理想といえます。
しかもそれを、監督を請け負わずにするという、省エネ活動です。
私の理想です。
多くの作家様には反発が上がりそうな思考ですが、そういう人種なので「へー」で終わらせておいて下さい。
さて、漸く、悪夢の「四時間通勤(往復)」が終わりましたので、少しずつ書評を進めていきたいと思います。
最初のコメントを投稿しよう!