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61走る汽車(夜)
62日本鉄道・線路(夜)
N「れいかたちの西郷邸襲撃は陽動であった」
線路わきに伏せていた夏輝たち、汽車が通過したのを見届けて。
立ち上がり、線路を越えて、走る。
63塀沿いの道(夜)
夏輝たちが走る。
64日本ビール会社・正門(夜)
前に来る夏輝たち。
一斉に体当たりで扉を開ける。
65同・敷地内(夜)
真っ暗な敷地内。
夏輝たち、走り込んでくる。
あらゆるアングルで走る夏輝たちを写して。
そこへ強烈な光。
眩しそうに手で顔を覆う夏輝。
でも、次の瞬間、手を離して目を開けると。
紅白の天幕に、宴の席が見える。
その前に立つ夏輝たち。
夏輝「何、これ?何か勘違いしてるんじゃないの?」
恭平「勘違いではありませんよ」
えりな「日本ビール会社はみなさんを歓迎します」
呆気にとられる夏輝たちの前に、陸戦隊に連れられたれいか・孫策たちが到着する。
夏輝「れいか様」
恭平「江戸の昔、打ちこわしの標的にされた商家では、店の前に酒肴を用意し、散々、飲み食いをさせた後、退散させて、打ちこわしを免れたといいます」
孫策「だからといって、こんなこども騙しの策には乗らんぞ」
恭平「勿論です。私どもは提案を用意させていただいております」
れいか「どのような提案です」
恭平「三田水利組合との契約内容に違反して、規定を上回る取水があったことを認めて、その超過分の料金を支払わせていただきます。、これまで30円お支払いしてきたのを、これより25坪分として、130円に改定することを申し入れ致します」
れいかと孫策、顔を見合わせて。
れいか「それだったら、私たちものめる内容です」
恭平「では、その線で話を進めるということで」
えりな「(給仕姿で、ビールのグラスを運んできて)さあ、みなさん、当社のビールを無料で振る舞いますよ。ウインナーもたくさん焼いてますからね」
咲苗「(ウインナーの皿を持ってきて)れいか様、これをどうぞ」
れいか「(ウインナーを一本とって)さなちゃん・・・・(事情が分かって笑う)」
ビール会社の社員と村人たちが、ビール片手に談笑している。
すっかり打ち解けた雰囲気。
えりな、樽からグラスにビールを注ぎ、孫策に飲ませる。
孫策「(飲み干して)うめー」
えりな「私、学館舎の女学校に入る予定なので」
孫策「おお、そうか。でもな、ヤソは認めんぞ。学校にヤソの教えを持ち込んだら許さんぞ」
みやび、れいか、見ていて、顔を曇らせる。
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