明治26年の開校~目黒川女学館シリーズ

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1目黒川沿いの道(夜) 対岸から、向こう岸を目黒川沿いに連なる松明の灯りを捉える。 メインタイトル「目黒川女学館物語 明治・開校篇」 以下、夜の目黒川沿いを進軍する抗議部隊、途中、松明に照らされる、まだつぼみの桜の樹などを写しながら、主要なスタッフ・キャストのクレジット重なる。 2三田用水の古地図 テーマ曲終わって。 N「三田用水は、四代将軍家綱の治世であった寛文四年に玉川上水の支流として開通、当初は飲用水であった用途が、江戸の中期・享保年間より農業用水として供されるようになり、明治期に至っている」 3海軍火薬製造所の塀(夜) N「その間、目黒村に建設された海軍火薬製造所と激しい水争いを演じ、闘争は東京府及び市への行政に持ち込まれた。結果、同製造所は滝野川村への移転が決定」 4日本麦酒会社のイラストなど N「残る係争相手は、日本ビール会社のみとなり、この日の大規模な抗議行動に至ったのである」 5学館舎・講舎内(夜) 助教(教師)の星野みやびが捕らわれている、といっても縛られたりせず、端座しているのみ。服装は、白の上衣に、黒の袴(心学塾助教の正装であり、以後、本編中はこれで通す) その前にれいかがいる。 れいか「先生、申し訳ないけど、講舎を本陣とさせていただくわ」 みやび「こんなことをしてどうするの?ビール会社との水争いは、東京府に調停の申し立てをしているはず。今更、暴力沙汰を犯してどうなるというの?」 れいか「十年前の秩父、三年前の佐渡、と民権側は敗北を専制政府の前に続けてきたわ。ここで一泡吹かせないと、民衆は泣かされたままよ」 みやび「だからといって、今は議会もあれば、憲法もある」 れいか「三年前の佐渡のときも、すでに議会はあった。でも、専制政府は、私たちのいうことを聞かなかった。民党が強くても、すぐに勅令で停会を命じるようでは、議会があっても意味はないでしょう。それに」 みやび「(不安げにれいかを見る)」 れいか「佐渡では負けていなかった。暴れるだけ暴れて、自主的に解散した・・・・・それだけよ」 6西郷邸・応接間(夜) 西郷従道と山本権兵衛がいる。 スーパー「海軍大臣 西郷従道」 スーパー「海軍省主事 山本権兵衛」 西郷「村民が盛大にやっておるようでごわんな」 山本「感心していただいては困りもんそ。目黒村の村民には、海軍省も水争いでやられもした。おかげで今年は火薬庫を移転する運びとなりもした」 西郷「そいは、目下、海軍が開発中の下瀬火薬の秘密製造のためもありもはんか?」 山本「そいもありもすが、やはり民衆の力でごわんど」 西郷「明治の民衆もふとかなりもした。こいで泉下の兄・南洲(西郷隆盛のこと)も真の国民国家が出来上がったと喜んでおりもんそ」
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