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20学館舎・内部
寺子屋のような内部。
年齢もまちまちの生徒たちが講義を受けている。
それを廊下から見ているみやびとプリシラ。
みやび「元は江戸時代にできた修養塾なんですけど、今は東京市の認可を受けて、尋常小学校の教育もできるようになっています」
プリシラ「女の子しかいないのですか?」
みやび「心学塾は、元々、男女の区別はなかったのですが、女中衆の受講は羽織を着するに及ばず、と女性の受講も大いに奨励したので、自然、女の子の塾生が多くなったのでございます」
プリシラ「日本は封建的と聞いておりましたが、そんな昔から男女平等の精神があったとは」
石田梅岩の肖像画をクローズアップ。
N「石門心学は、八代将軍吉宗と全く同年齢である石田梅岩が、仕事即修行 を基本思想として創立した学問であり、江戸後期、隆盛を誇ったが、明治期に入って低迷。一時期、明治政府の宗教・思想統制政策により大成教傘下となったが、京都の明倫館のように、自治体の後援・認可により普通小学校へ転換する例も多かった」
21目黒川沿いの道
みやびを乗せた人力車が走る。
22宮邸・外観
洋館。
23同・応接間
ソファーに座って、松濤宮とみやびが向き合っている。
みやび「宮様のおかげで、文部省・東京市からの後援も得られそうで、女学校開設もうまく進みそうです」
松濤宮「当面は各種学校扱いとなりますが、東京市も正式な女学校と同等に扱うといっておるので、まあ大丈夫でしょう」
みやび「心学塾が女学校になるなんて信じられませんわ」
松濤宮「東京市内中心部にも桜井女学校など、どちらかというとキリスト教系の女学校ができていますので、それへの対抗策という側面もあるのでしょうが」
みやび「心学はあくまでも人がどう生きていくかという心構えを説いたもの。労働の価値を認め、お金儲けを肯定する、という意味では、プロテスタントに似たものはあるかとは思いますが」
松濤宮「みやびさん。そろそろ私たちのことも考えていただいては」
みやび「そのお話ですが、私のような庶民の娘が宮様の北の方になるなど」
松濤宮「公家など、所詮、ほんの25年ほど前までは、京都の狭い家で、まんま食えないと泣き言いっていた貧乏所帯の連中です。そのようなこと気になさることはありませんよ」
みやび「少し考えさせていただきます」
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