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プラネタリウム
きょうの天気は晴れ。
夜空にはたくさんのお星さまが出ていると思っていたけれど、この世界ではあまり星は見えない。
「ざんねんだね。北の森では雨の日以外はお星さまがたくさん見えたのに。若菜の世界ではどう?」
「うんうん、エドの時代でも良くお月さまもお星さまも見てたの。残念だね」
パジャマ姿の若菜とマナは、ベランダを見上げながら残念そうに話していた。
今日は、梨子の家で三人のお泊り会だ。
「どうしたの? 風引いちゃうよ、二人とも」
梨子が後ろから抱きつくと、二人は驚いたように目を大きくして、体を震わせた。
「わっ、びっくりした! あのね、若菜と話してたの。この世界はあんまり星が見えないんだなぁって」
「あー、なるほどねー、あ……そうだ、じゃあプラネタリウムしてあげようか」
「ぷら、なに? それは星が見えるの? この世界にはいっぱい不思議なものがあるんだね」
「えっ、梨子ちゃんは、本当は魔法使えたりするの?」
驚く二人に梨子がドヤ顔すると、二人の冷たくなった手を握って部屋へと入った。
押入れからガサゴソ何かを取り出すと、去年サークルで行われたビンゴゲームで、運良く引き当てたプラネタリウムを取り出した。
「部屋を真っ暗にして、この機械のスイッチを入れると、天井が夜空みたいになるんだよ、二人とも寝転んでみて」
すでに敷かれた布団の上で二人はゴロンと横になると天井を見上げる。
梨子がプラネタリウムのスイッチを入れて電気を消すと、満天の空が浮かぶ。
「わぁー、綺麗……未来ではこんな機械が発明されてるんだ! 梨子さんありがとう」
「すごい、魔法みたいだね。綺麗だよ、梨子ちゃんもおいでよ」
目を輝かせて喜ぶ二人の間に梨子は寝転ぶと、二人の指を温めるように手を握った。
なんとなく、それが心地よくて二人は年上のお姉さんに甘えるように頭を寄せる。
「三人でお泊り会、久しぶりだねー」
「うん、今度は旅行でもいって皆でお泊り会したいね」
「いいねっ、行きたいなぁ。皆で射影機……じゃない、か、カメラでっ……撮りたいね」
三人は体を寄せ合うとくすくすと笑いながら話し合った。
――――三人でいれば、いくらだってお話は弾む。
先程飲んだホットミルクと、お互いの体温が心地よくて、プラネタリウムを見ながら微睡んでいると、誰ともなく健やかな寝息を立て始めた。
おやすみなさい、また明日。
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