廃園のトマト

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干からびて絡み合う植物の蔓の木乃伊(ミイラ) 空は伽藍堂 晴天のはずなのに夜よりも深く沈んで暗い 雑草に足を捉えれれなが 荊のアーチの下のひび割れた天使のトルソの前で静止 色の無い世界にただ一つだけ見つけた それは鮮やかなトマトの果実 凝視する僕たち 僕は手を伸ばしてその果実を捥ぎ取る 掌に伝わる重さや感触に心臓が高鳴る 君に口移しでトマトの果実を食べさせる 君は顔を顰めながらながらも果肉を飲込む 鳥たちのような淡い接吻 いつしか僕たちの白いシャツは トマトの果汁で薄朱く染まる 君は云う 鉄線に指をかけて四角い空を見上げながら 「二学期なんて永遠に来なければいいのに・・・」 飛行機が飛んでゆく 小さな僕たちの頭上を 低空飛行で
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