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「なに……これ」
その部屋には。
壁という壁中に、肖像画が貼り付けられていた。
写真と見紛うほどに、リアルな肖像画。
その全てが、見間違えようもなく、私の絵だった。
笑っている私。ほおづえをついている私。ソファにもたれている私。珈琲を淹れている私。
見ているこちらの気が狂いそうなほどに、私の絵が並んでいる。
この部屋を一言で表すならば――
「ねえ、麗華。わたしが一番得意な絵は、肖像画なんだよ」
――狂気そのもの。
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