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3
はなちゃんは桃の木の所へと鳥たちを連れて歩いていました。しばらくすると、道端にあけびが落ちていました。はなちゃんが拾おうとすると
「待って!」
と小鳥が鋭い声で遮りました。
「出てこいよ、オマエ」
と言うと
「ちぇ、バレたか」
と一匹の小猿が姿を現しました。
「オマエ、罠を仕掛けたろ?」
「どうしてわかった?」
「落とし穴だろ?草がわざとらしく敷かれてる。いずれにせよオマエだけか?」
「そうさ。悪いかよ」
はなちゃんの心には、小猿の心が痛いくらい伝わってきました。小猿は愛されたいのに愛してくれる人がいないのです。何より他の猿とケンカで負けてしまって、自分は愛される資格がないと思い込んでいるのです。
そこではなちゃんは、小猿に手を差し伸べました。最初、猿はびっくりして手を引っ掻きました。でもはなちゃんは構わず、小猿の背を撫でてやりました。すると小猿もまんざらでもない様子で
「このあけび、一緒に食うかい?」
と話しかけました。
「それは嬉しいわ」
とはなちゃんが言うと、二人は恋人同士のようにあけびを分けあって食べました。小猿は
「あんたといると、心の傷が癒える。よかったら一緒について行きたい」
と言いました。はなちゃんは桃の木の所に行くことを伝えると、小猿はたいそう気に入った様子で、ついて行きたいと言いました。それをはなちゃんも喜んで承諾しました。
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