生い立ち

2/2
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
私が14歳の時、日本で言えば中学2年生だろうか、授業中、教頭先生が私を呼びだして言った。 「お父様から電話があって、すぐ帰宅するようにとのこと。車で家まで送るから急いで用意しなさい。」 家に戻ると父が血相を変えて何か荷物をまとめていた。 「最低の着替えを、このスーツケースに入れなさい。5分で。すぐ出発する。この家には二度と戻れないから。そう思って大事な物だけをスーツケースに入れるんだ。」 私は戸惑いながら荷物をまとめ、5分後、父と二人、バスで空港に向かいモロッコへ飛んだ。 「母さんは?」 途中、何度か父に質問したが、答えてくれなかった。 モロッコの空港には父の知り合いらしい50代くらいの男性が迎えに来ていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!