父 危篤

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父 危篤

大学を卒業後、私は米国内科専門医(ABIM)の資格を得るため、そのまま大学病院にて研修医をしていた、ある日。 父が危篤であるとの連絡を受け、モロッコへ飛んだ。 父は自分が勤務しているモロッコ軍の病院とは別のCLINIQUE ASSALAMのICU(集中治療室)で私を待っていた。 そこで私は、知らなかった父と母の過去と現在を初めて聞かされた。 とは言え、父は虫の息であった。 情報は非常に限られた漠然としたものである。 父と私がしなければならなくなったあの日、FBIに居場所がバレた母は先に逃亡した。 その後、父自身にも母の消息は不明のままだったが、昨年、母から連絡があり、ブエノスアイレスで現地人と結婚し、その男性との間に子どもが二人いるという。
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