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ルール
「まずは、このゲームのルールを説明する。ルールは簡単。雪の写真を撮ることが出来れば、お主の勝ち。出来なければ、ワシの勝ちじゃ」
「雪の写真? そんなもの冬になればいくらでも撮れるだろ。東京では積雪は無いにしても、ちらつく程度の雪は毎年降ってるし。本当にこれで勝ったら、俺の願いを叶えてくれるのか?」
「話は最後まで聞けい、若ぞう。もちろんタイムリミットはある。タイムリミットは今日の日没までじゃ。夕日が完全に沈んだら、タイムアップ」
「は? そんなもん出来るわけねーだろ。今11月だぞ。不可能じゃねーか」
「だから、話は最後まで聞けと言っておるじゃろ。普通に考えれば不可能。しかし私には天候を自在に操る能力がある。だから時間までに、わしを説得するなり、脅すなどして何とか雪を降らせるといい」
「なるほどな。でもあんたが本当に天候を操れると言う証拠がない。疑わしいけど」
「証拠なら幾らでも見せてやるわい。ほい……」
直後、上空から雪がちらついた。街がざわついている。
そりゃそうだ。11月に東京で雪が確認されたことなんて今まで一度もないだろう。
「東京だけでなく、全国で雪が確認されておるぞ」
「どうやら能力は、本当のようだな」
「信じてもらえたかね。ではお互いの掛けたものを、確認しよう。お主が勝ったら、お主の願いをひとつ叶える。ワシが勝ったら、お主がワシの願いを一つ聞く。それでいいな」
「は? 何だよそれ、俺が勝った時は、書いてあったけど、負けた時のことは契約書には書いてなかっただろ」
「よく見たまえ。ここに注意書きで小さく書いてあるじゃろ」
爺さんが契約書を指差したところには、確かに小さく書いてあった。
「きたないやり方だな」
「しかし、もうお主はサインをしている。それにそんな悪い話ではなかろう。ワシは天候を操るほどの能力を有しておるのじゃ。大概の願いは叶えてやれる。それに加えて、わしは一人で、お主は何人で挑んでも構わない」
「確かにそんな悪い話じゃなさそうだな。分かったゲームを始めよう。グダグダ話してたら、時間がなくなっていく」
「うむよかろう」
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