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「梢、お風呂沸いたけど」
「あ、うん、ありがとう。すぐ入る」
寝室に入ったまま出てこなかった梢に、義隆は声を掛ける。梢はドレスを脱いで、下着姿のまま脱衣場に駆け込んで行った。
「・・・義隆は?入らないの?」
一度閉まったと思った脱衣場の扉から顔を出して、梢が恥ずかしそうに呟く。やっぱり今日の梢はどこか様子が変だった。
「梢、それ本気で言ってる?」
「・・・うん。だって一緒に入ろうって言ってたじゃない」
「言ってたけど・・・一緒に入ったら、その、たぶん、色々しちゃうけど、いいの?」
「ふふふ、今更じゃない?別に私はいいけど」
「もうどうなっても知らないからな」と、モゴモゴと言うと、義隆は着替えを持って梢が待つ浴室へ向かった。
義隆が浴室に入ると、梢は髪を洗い終わった後だったらしく、ゆっくりと湯船に浸かっていた。その姿だけで色っぽくて、理性が飛びそうになる。並んで浴槽に入ると義隆はもう我慢が出来なくなり、梢の赤い唇を塞いでいた。
「あっ、義隆っ・・・」
梢は義隆の体にしがみつき、必死にキスに答えていく。二人が動く度に、湯船のお湯がちゃぷちゃぷと跳ね上がる。そうしているうちに、梢の柔らかい胸の膨らみに、義隆の手が伸びてくる。
「ここで最後まで全部しちゃったら・・・妊娠するかな」
「え?」
そんな最中、梢がふと意味ありげに笑って見せた。一体どういうことか分からなくなった義隆は、手を止めてしまう。
「あ、ごめん。なんか・・・それでもいいかなって思って」
「何で?子どもはまだ欲しくないんでしょ?」
「・・・そう思ってたんだけどね。実際、二人で暮らしてみて。義隆、家事ちゃんとできるから、思ってたよりも大変じゃなくて。こうやって二人でずっと協力できれば、結婚しても、子どもが出来ても、仕事続けられるんじゃないかなって思ったんだよね」
「あと、楓さんの結婚式でお父さんとお母さんが喜んでるの見て、いいなって思ったんでしょ?」
「あ、バレた?そうなの、そういう親孝行も悪くないかなって思って」
「ふーん」
義隆は体制を変えると、梢を後ろからキツく抱きしめた。梢の白いうなじはとても綺麗で、思わずそこに唇を落とす。
「んっ・・・」
すると梢は、快感に身を委ねながら義隆の方を向き、
「結婚・・・する?」
と、言ってきた。驚いた義隆は、目を丸くしてそのまま固まってしまった。そしてしばらくして、大声で笑った。
「梢、ここ、風呂だけど」
「だって今、義隆と結婚してもいいかな、ずっと一緒にいてもいいかなって思ったんだもん」
「夜景が見えるオシャレなレストランで、指輪パカってやるやつじゃなくていいの?」
「それは・・・今度改めてやってよ」
恥ずかしそうに背中を向ける愛おしい人を改めて抱きしめて、
「オッケー、じゃあ指輪、買いに行こうか」
と、義隆はまた笑った。
永遠の愛を改めて確認した二人は、結婚式に参列して疲れていたことなんて忘れてしまって、そのまま朝まで夢中で愛し合った。
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