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「もう、梢、飲みすぎだって」
「ふふ、だってみんなにお祝いして貰って嬉しかったんだもん」
梢は飲みすぎてしまって、今までにないくらい酔っ払ってしまった。途中で男友達と飲んでいた義隆が気付いて止めに入り、水を飲ませたが、その時にはだいぶベロベロになっていた。結局、足元がおぼつかない梢を、義隆はおんぶして帰り道を歩いている。
「ごめんね?重い?」
「いや、重くはないけどさ。珍しいじゃん、梢がこんなに飲むなんて」
「だから、嬉しかったの。紗子も聖奈も拓郎も・・・大学のみんなが祝ってくれて。その他にもね、お姉ちゃんも両親も雅さんも店長もシゲさんもアリスさんもね、みんなみんな良かったねって言ってくれたんだよ」
「そっか。それは嬉しかったね」
キラキラと輝く星空の下で、少し肌寒い風と背中に感じる梢の温もりで、義隆は幸せに満ち足りていた。学生時代梢と別れることで、現実から逃げてしまった自分に、まさかこんな幸せが訪れるなんて思ってもみなかった。だからこそ全てを受け入れてくれて、傍にいると決めてくれた梢を何があっても大切に守っていきたいと決意した。
「ねぇ、義隆」
「ん?何?」
「私と義隆は運命だったんだって。聖奈がそう言ってた」
「じゃあ、その運命を大切にしないとね」
「うん、大切にする。義隆、ずっと一緒にいようね」
華奢な両手で精一杯抱きしめてくる梢は、酔っ払っていていつもより熱を帯びている。さっきよりもドクドクと、鼓動が早くなっているように感じるのは気のせいだろうか。
「今日は酔っ払ってるから・・・お風呂一緒に入ってくれる?」
「・・・梢、それ、誘ってるの?」
「さぁ?どうでしょうね?」
嬉しそうに笑う梢は、いつもよりテンションが高めだ。マンションにはあと一、二分で着く。
時々気まぐれに誘ってくるこの小悪魔な花嫁を、今夜はどうやって愛そうかと義隆は考えを巡らせながら、エレベーターのボタンを押した。
元カノから花嫁に返り咲いた梢に、義隆はこれからも翻弄されながらも幸せに暮らしていくのだろう。
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