君の瞳には映らない

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春樹が泣くと植物が暴れた。危険だからと人気のない場所まであわててそこで泣き続けた。透の母親にされた扱いに傷ついた。自分の子供のように可愛がってくれた人だった。だけどむきだしの敵意で僕を悪霊として始末しようとしていた。 散々泣いて泣き疲れた頃にはスッキリしてきた。春樹が泣いている間、男は煙草を吸っている。 「僕はどうして死んだんだろう?」 「さあな」 「おじさんは人間ですか?それとも僕と同じ……」 亡霊?そんな言葉を使いたくなかった。 「人間だよ……霊が見えるおじさん」 「言ってましたよね、僕が透君と友達といたら透君がおかしくなるって……」 「死者が人間に干渉すると、その人間は生と死の境目が曖昧になっていく…………幻聴、幻覚、精神疾患の半分は霊がらみだぜ」 「だけど透君は僕が見えてたのかな?……一緒にご飯食べたり、一緒に寝たりしていた……好きだって言ったらお前だけだからって言ってくれた」 不思議そうに春樹を眺めた。 「ちょっと待って……さっきから気になってたんだけど君と友達って本当に友達なの?さっきから好きとか何とか………」 春樹は顔を伏せた。 「へぇ……初めてホモの霊を見た……」 「やめて下さい!そんな言い方!デリカシーなさすぎです!そんなに簡単じゃないんです!!……」 「ハハ……おこんなって……それより早く彼氏から離れてやんねーとやばい事になるぜ」 「それはいや………絶対に離れたくない」 「嫌って言ったってしかたねーだろ?死んじまったんだから」 言葉が胸に突き刺さる。 死んだと言うならどうして心だけ残ったんだろう。死んだなら死んだ事なんて知りたくなかった。 この姿になってもここに居る意味があるんじゃないだろうか。 春樹の中に根拠のない、ある妄想がよぎった。 「この姿じゃなかったらいいの?」 「は?どーいう意味だよ?」
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