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放心状態になってしまって伯爵様の言葉の前半が聞き取れなかった。
けれど条件反射でハイなんて言ってしまう。
「オスワルド様、到着いたし……」
外から馬子が馬車の扉を開けた。
その瞬間、伯爵様は私の肩に手を置いて、フリーズ状態の私の唇にキスをした。
「わわわ!ごめんなさい……」
馬子の青年が顔を真っ赤にして馬車の扉を締めた。
私も時間差でみるみる顔が真っ赤になる。
伯爵様が涼しい顔をして馬車を降りたところでやっと叫んだ。
「お、オスワルド様!?」
「ちゃんと確認はとったろ?キスしていいかと訊いたら君は了承してではないか」
何が起こった?
アゴが外れてしまった猫のように間抜けに口をあんぐりと開けて白けていた。
ああ、ここは私の実家の屋敷の前か。
伯爵様に手を引かれて放心状態のまま馬車から降りた。
「それではレディー、おやすみなさい。明後日の夜迎えに来るよ」
「えっ?オスワルド様……!」
有無も聞かずに馬車は走り出してしまった。
第4話
噂が広がるのは思ったよりも早かった。
「オスワルド伯爵と結婚するんだって?」
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