ヤンデレ伯爵様から逃げられない(短編)

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「ごめんね、あ~、あなたも大変でしょうし、もうそういうのは良いわ。今まで私のワガママ聞いてくれてあんがとね。もう言わないから、帰っていいわ。今後はもう夜遊びもやめるから来なくて良いわよ」 「はぁ?」  ケビンの目は点になっていた。  ああ、それよりも噂を早いところどうにかしないと……。  でも翌朝さらに噂話は広がっていた。  イケメンバツイチ伯爵が今度は中産階級の成金お嬢様にゾッコンだと。  伯爵の家にも行き来する仲で、お互いの瞳の色の宝石を贈り合ったと。  路上キッスしていたと。  みんなゴシップネタ好きだなあ。  周りに噂の話の真偽を問われるたびに否定して回るのも大変だった。 貴族との結婚って、変に舞い上がっている両親にも全力で否定した。  それなのに……。 「今度、婚約式のドレスを仕立てに行こうか。君は華やかな顔で色白だから鮮やかな彩色が似合いそうだね。……ところで、いつまでそうやって頭を垂れているつもりだい?」  レストランの広い個室には優雅な音楽が流れている。
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