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私はまだ料理の運ばれていない白い布が掛けられたテーブルの上に額をくっつけて、伯爵様に頭を下げていた。
「土下座が良いですか!?」
食前酒をスタイリッシュに飲んでいた伯爵様は涼しい顔をしている。
「何についての謝罪かな?」
「単刀直入に申し上げます!伯爵様とご結婚はできません!」
「……私が何か君に対して失礼な事でもしてしまったかい?」
「そうではありません。……えっと、ご縁が無かったということで……、あ、それに私は平民で、伯爵様とは身分が違いすぎます」
しどろもどろではあるが告げた。
「今の時代、自由恋愛も解禁されて結婚において身分差なんて昔ほどないだろう?」
何も言い返せなくなるほどの眩しいイケメンの笑顔。
「あっそうだ、でも、きっと、伯爵様のご両親はお認めになりません!」
初恋相手の平民の娘とも両親の反対で破局したと、小説に……。
「両親は既に鬼籍に入っている、家督はこの私だ。口うるさい姑も居なくて良い嫁ぎ先だと思うが?まあ、喧しい執事は居るが君なら彼も気に入るだろう」
「……ぐっ」
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