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「魔法その1! あたしと契約すると『現金がなくてもお買い物が出来ちゃう』! どう? 凄いでしょ! 支払いは自動で銀行から引き落されるのよ?」
「……それって、スマホの電子決済と何が違うんだよ?」
やはり警察に持っていくか。
「待ってぇぇ! ま、魔法その2! これは凄いわよ? 何と『古今東西、世界中の映画や動画が見放題』! 円盤やカセットを交換したり、ショップに出かける手間もなし! しかも大半は無料なの!」
「それ、ただのYOUT■BEだろっ! 何処が魔法なんだよ!」
「ええぇ? フツーに魔法じゃん! ま、ほ、う! それじゃあ、こんなのはどう? 魔法その3! 『複雑な計算も一瞬で出来ちゃう』!」
「ただの電卓アプリじゃねーか! 魔法でも何でもねーよ!」
どーしよう。もしかしたら警察に持っていくほどの価値もないかも知れん。
「ああ! 今、あたしの魔法を疑ったわね? だったら仕方ないわ! こんなのはどう? ふふふ……これは凄いわよ? 魔法その4! 『その場にいながらにして、世界中の街並みを旅して歩ける』! まさに魔法……」
「グー■ル・ストリー△ビューじゃねぇかぁぁ! 全く魔法と関係ないんだよ!」
何だかバカバカしくなって来たな。もう捨てて行こうか。
「ま、待ってよ! 他にも色々出来るんだから! カメラのように写真を撮ったり、ビデオ撮影だって可能なの! 他にも緊急地震速報とかも受信出来ちゃうし、メールだって使えるの! これら全てをあたしと契約するだけで使えるのよ? 凄くない?」
「何処が凄いんだよ! 全然フツーだよ、フツー! フツーのスマホなんだよ!」
「あ! 大丈夫、何ならネットにアクセスすれば新しい魔法がダウンロードできるし!」
「それアプリだよっ、アプリ! 全然魔法でも何でもないよ!」
「おかしいわねぇ……? 50年前だったら完全に魔法だったのに」
アルテミスが画面の中で首を撚る。
「今はその50年後なんだよ! いつの時代の話をしてるのさ!」
なるほど、デザインだけでなく中身の方も古臭かったか。
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