6 つなぐ手は

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 自分でも思わなかったほどに近くにおり、慌てて一歩下がった。 「っと失礼、少し考え事を」 「ふふ、そのようですね。ですがそろそろ」  見送りに出ただけだったので、外套を羽織っている者もいない。  もともと頑強なクレイグはともかく、サラやアルヴィン、使用人達も皆寒そうにしていた。 「悪かった。戻ろう」 「はい。アルヴィン様、さっきの林檎で作ったパイがもうじき焼きあがりますから、お茶を淹れましょうね。クレイグ様もよろしければご一緒に」  甘いものは得手ではない。しかし、いかにも自信たっぷりに美味しいのです、と言われれば断るのも気が引ける。  その上、クレイグの好みを知っているコックの計らいで、生地も中身も甘過ぎないからと先手を打たれた。  苦笑いで承諾すると、サラはクレイグの右の手を取る。  細く、温度を感じない指に、クレイグはびくりと震えた。 「よかったですね、アルヴィン様。今日のお茶の時間は叔父様と一緒ですよ」  触れた時の動揺には気付かなかったサラは、そう言ってクレイグの手を上に向けさせて、今まで自分が繋いでいたアルヴィンの左の手を上に乗せる。  叔父と甥の手を繋がせたサラは、満足そうに微笑んだ。
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