6 つなぐ手は

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 どうしたらいいか分からずにクレイグがアルヴィンを見下ろすと、同じように驚きを浮かべる幼い瞳と目が合う。  その見上げる輪郭、繋いだ手……思い出すのはよちよち歩きの甥。  兄夫婦が楽しそうに見守る中、小さな手と歩いた初夏の庭。  支えているはずなのに支えられているような不思議な心地、ふっくりとした温かさ、短い指。  ほんの数年前なのに遠く霞むのは、もう戻らない時間だからだろうか。 「……アルヴィン、大きくなったな」  最後に甥と手を繋いだのはそれが最後。  自分の力で握りつぶしはしないかと気が気でなかった記憶がある。  今もまだ、クレイグの厚く大きな手のひらに余裕ですっぽりと収まるが、あの頃よりもずっと、大きくなった。  見下ろす頭の位置もずっと高い。  クレイグの言葉にアルヴィンの瞳は微かにきらめき、コクリと頷く。  きゅ、と入った力はあくまで子どもの握力だが、それでも十分に強さを感じさせた。  クレイグが覚えているのは、はしゃいで駆け回ったり、笑ったり泣いたりする「子どもらしい」アルヴィンだ。  ルイスから事故の連絡を受けてここに戻ってからというもの、その頃の片鱗も見つけられず、まるで別の子に変わったかのようだった。  ――それが、ようやく少しずつ。  クレイグはその手を、やはり潰さないように加減しながら、でもしっかりと握り返す。  手を繋いだまま戻った屋敷の中には、サラの言葉通りキッチンからの甘い香りが漂い始めていたのだった。
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