黒い隠しごと

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「ん? 可愛いのは鎖那(さな)ちゃんでしょ? 何言ってるの。私は綺麗系だから可愛いはあんまり誉め言葉じゃないわ。格好いいは嬉しいけどね? むしろ私と比べたら明らかに鎖那ちゃんが可愛いから私、比較に使われているみたいでいやだわ」  正直な気持ちを述べて、苦笑する。  思いっきり毒を吐きながらも眉を下げていかにも「ショックを受けました」という顔を作る。年を重ねた経験上、こういう表情と言い方であれば敵を作らないとわかっている。  案の定、相手の男は「もー、鎖那ちゃん、言葉に気を付けなよー。姉さん可哀そうじゃん」と笑い飛ばし、鎖那ちゃんは本当に困ったように「え、あの、そういうつもりじゃ……え……」と困惑している。  うん、知ってる。  お手本通りにならなかったら、貴女はそうやってパニックを起こすのよね。  そして顔色を明らかに悪くして、体調を崩して  ドサ  ああやっぱり。その場に膝をついて(うずくま)るわよね。  過呼吸になってるわ。
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