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ベッドから起き上がろうとすると、再び柏木さんが側にきて、さっと手を伸ばして手伝ってくれた。
「いたたた、、、」
胸の鎖骨あたりから背中にかけてのぐるりが表面はヒリヒリ、中は筋肉痛のように痛む。
親父はびっくりするほど目元を緩め、
「柏木さんとお前に酷いこと言ってすまなかったな」
と、おもむろに謝り出した。
「は?」
「お前が落雷に遭ったことを伝えたら柏木さんな、凄い形相で飛んで来てくれたんだ。
食事も摂らず、夜通しベッドの側に付きっきりで。
ずっと汰、お前の名前を呼んで片時も離さずに手を握っ、、、
保険のきかない薬も準備してくれ、、、」
話しながら目頭を押さえつつ肩を揺らす親父。
「パパ」
その肩に母親が手を置いた。
「汰、父さんは間違ってた。
この方がこんなにもお前のことを大事に思ってくれているとは」
柏木さんが夜通し側に?
付きっきり?
何で?
俺を大事に思ってくれてる、って、、、。
、、、どういうことだ?
「親父、何の話をしてるんだよ。
何で柏木さんが、、、あいててて」
少し動くだけで首周りと胸、背中が軋むように痛む。
とりあえず皆が見て騒いだ俺の上半身がどうなってるのかを確かめようと、自力で病衣の前を開けると、
「ぅわっ」
真っ赤なギザギザの線が何本も何本も胸へと一面放射状に広がっていた。
何だ、これ、、、。
その赤い線はまるでシダ葉模様のケープを巻いてるようにも見え、アニメに出てくる異形生物を思い起こさせるほどだ。
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