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キセくんの説明に頷いた先生も、
「危惧される後遺症としましては、爆傷による錯乱や記憶障害など脳機能の認知不全、大きな音や光に反応すると落雷の記憶が甦って恐怖してしまう、心的外傷も起こることがありますが、、、」
「おい。
俺達が誰なのかはわかってんだろうな」
「はい。
ええっと雷紋を説明してくれたのがキセくん。
うちの両親と柏木さんに結城さんと水無月さん。
、、、ですよね?」
「それぞれの関係性、言ってみろ」
すでに先生が退室していたので、俺はベッドを取り囲んでいる全員に憚りなく答えた。
「関係性ったって、当たり前のことしか。
両親は俺の両親でしょ?
集まってくれた皆さんはISPの方々で、、、。
総司令官のキセくんと元刑事の水無月さんはパートナー関係で仕事も一緒。
あとから抜擢された交渉役の結城さんと、、、。
えっと柏木さんは会社の社長もやってるけど組織の中ではリーダーで、、、」
そこまで言うと水無月さんが
『よくできました』と言ってから、
「、、、ったく毎回毎回騒動ばっか起こしやがって。
大人しく結城の車に乗ってりゃ落雷も避けられただろうがよ」
呆れたように ふんと鼻を鳴らした。
「だって、、、。
まさかあんな晴天の日に雷が落ちるなんて
俺、思わなかったんですもん」
─ 誰も思わないだろ、普通。
忙しなく腕の時計を見た水無月さんは、
手に持っていた上着に袖を通し、柏木さんに目配せした。
「さてと、、、。
ポンコツの回復も確認できたことだし、
俺達は捜査続行するか」
「キセくん、悪いが僕はしばらく汰士の様子を見ててやりたい。
今抱えてる調査を結城に引き継いで貰おうかと思うんだが」
「是非そうなさって下さい」
「チッ、どこまで過保護なんだ。
何も問題ないから退院できんだろが」
「いいえ水無月さん、退院してもしばらくは何があるかわからないのです。
海外では落雷後に突然死した例もありますからね。
やはりここは付きっきりで柏木リーダーに様子を見ててもらわないといけません」
三人の会話に違和感を持った俺は、
「あのー、、、。
さっきっから聞いてて不思議なんだけど、
何で俺に関わってくれるのが全部柏木さんなんですか?」
と思わず口にした。
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