柏木さんと俺は付き合ってなんかいません!

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いきなり静まり返った室内で、キセくんだけが指を立てて俺に迫った。 「それはですね汰士さん、 柏木さんは あなたの大切な恋人、つまりは 彼氏であり、かけがえのないパートナーだからですよ」 その真面目な顔に俺は大笑いした。 「あははは、、、 柏木さんが彼氏? 俺の? やめて下さいよ~、変な冗談」 ひとしきり笑って周りを見ると、皆が皆 妙な顔で俺に注目している。 母さんがベッドの柵に手をかけた。 「変な冗談って、、、。 汰ちゃんこそ何言ってんのよ」 「だって聞いたでしょ? キセくんたらさ、柏木さんが俺の恋人だとかパートナーだとか言うんだもん」 柏「、、、」 父「汰士?」 結「マジで言ってんのか? チビ」 みんなの不思議そうな表情に、 「マジも何も。 俺は柏木さんとこで居候(・・)として世話になってるだけでしょ? 、、、知人のよしみで」 再びの静寂を水無月さんが破った。 「おい、、、 何か面倒くせぇことになってんぞ」 「汰ちゃんっ、、、!」 「なに」 「あなた男の人が好きなんじゃないの?」 「そうだよ。、、、あれ?  けど俺、母さんにカミングアウトしたっけ?」 「したじゃない昨日。私たちの前で。 柏木さんと付き合ってるって! 一緒に生きてくって!」 「まっさかぁ~。 なんで俺みたいな庶民も庶民、しがない薬屋の息子がこんなスゴい人と。 あのね母さん、柏木さんは亮介さんとユキさんの邪魔して申し訳なく思ってた俺の話を聞いて、マンションの一室を貸してくれただけ。 いくら冗談でもそこまで盛ったら失礼だろ。 ね? 柏木さん」 柏木さんを見上げると、複雑な表情で俺を見たまま微動だにしない。 でもって母親は目を泳がせ、今にも泣きそうな顔になっていた。 「、、、汰、、、ちゃん」 「先生を呼んでこよう」 父親が急いで部屋から出ていく様子を目で追った俺は、ゆっくりと周囲へと視線を転じた。 みんなが揃って口を開け、驚いている。 「どうしたの、みんな」
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