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そういうわけで、私はまんまと彼女の罠に嵌ってお茶とアロマオイルを頼んでしまった。
そういうわけで私はお湯を炊いた。
私は雑にポッドにお湯をいれようとした、その時である。
「ああ、ダメダメだよ。ダメダメー!」
彼女が叫び声をあげた。
「お茶っていうのはねーほら見てて。まずカップにお湯を注いでから、次にポッドにお茶を淹れるものなの」
それはあまりにも得意げな表情だった、そのため思わず彼女の顔をジッ―と見入てしまった。
以前にも思っていたが、やはり整った顔立ちをしているなと惚れ惚れする。
長いまつ毛に、紅潮した頬、それに長い銀髪のパーマを巻いた美しい髪に、大きな灰色の瞳。
どこかのいいところのお嬢様を思わせる顔立ちだ。
「どうしたの?私の顔をジーッと見て」
「いやなんでもない」
私はお客で彼女は施術者、それ以上のなにものでもない。
その掟を忘れてはいけないと三回ほど心の中で唱えた。
「なあ、お茶っていうのはまだできないのか?」
「うーんとだいたいだけど、お湯を淹れてから一分ぐらいは自然にしておいた方が美味しいの」
「そうなのか」
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