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エピローグ
┈┈┈┈有里は産婦人科の一室にいた。
彼女は子供を身ごもり、出産した。
やっと産まれた命とご対面でき、出産の大変さを乗り越え母親になったところだ。
太陽の光が差し込む部屋のベッドに横たわり、赤子の顔を見つめる幸福感に有里は包まれていた。
産まれたばかりの命はこの世の全ての光に身に包んでいるかのようだった。
念願のパパになった朔は先程からずっとにやけ顔が止まらない。
義母にも呆れられるほどだ。
「有里さん、本当に大変なお産だったわねぇ」
つい先程来た義母が、持ってきた花を簡単に飾りながら労いの言葉をかけた。有里は遠慮がちにいえ、と答えた。
「でも不思議!そっくりだわー。小さい頃の朔に。鼻の形も目の間隔も!」
そういって義母はわざわざ持ってきた一枚の写真を有里と朔に見せた。
…たしかに、同じ顔をしていた。
今産まれたばかりの赤子と、朔の赤ちゃんの頃。
よかった。
有里は心から安堵し、幸せをかみ締める。
そして自然と涙を零し感謝したのであった。
[完]
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