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「助けて!!」
すると、レイアは大きな声そう叫び始めたのだ。
このままでは外の連中に見つかる。
僕は焦って、しーっとレイアを静かにさせようとした。
「だめだよ、レイア。外には人が居るんだ。
見つかったら、引き離されちゃうよ。」
僕は必死でレイアの口を塞ごうとする。
「それでいいの!!あなたと一緒にはいられない!!離して!!」
レイアはそう叫んだ。はっきりそう言った。
どういう意味なの、レイア。まだあの男のことを考えているの?
「レイアはだまされているんだって。分かってよ…」
「だまそうとしているのはあなたでしょ?!あなたの都合で物事を解釈しないでよ!
私はあの人を愛してるの。あなたじゃないわ!!」
仰向けに押さえられながらも、レイアは僕の目を見て、はっきりとそう叫んだ。
と、レイアははっとしたように、その顔色を悪くした。
レイアはぼくのこと、あいしてないの?
そんなはず、ない。ぜったいに、ありえない。
「嘘だ…。」
僕は小さく言った。
「だってレイアだって、僕のこと好きって言ったじゃないか。」
本当は、口に出していってはいない。
でも絶対、あの時僕と同じことを思っていたはずだ。
私もあなたが好きって、心の中で言っていたはずなんだ。
僕の言葉に、レイアはなんのことか分からないと言いたそうな顔で僕を見た。
「しらばっくれないでよ。レイアは僕が好きなんでしょ?
だから、いつも楽しそうだったんでしょ?
だけどあの男が現れてから、レイアはあまり仕事場に来なくなって、最後には仕事を辞めた。全部あの男のせいだ。絶対そうだ。」
僕は拳に力が入った。あの男に対する怒りで、血管が切れそうだった。
いや、それももうどうでもいいか。
僕はレイアと一緒に死ぬんだ。
死んでしまえば、あの男のことを考えなくてもよくなるよね。
はやく、しんでしまおう。
そう思い立った僕は、目を丸くして体を震わせるレイアの目をまっすぐ見ながら、
「すぐにいくよ」
と、そう言って包丁を振り上げた。
レイアは恐怖に目を瞑った。
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