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これ以上話し込んでも無駄だろう。
そして僕はそう気がづいた。
話が通じない相手と話し続けていても、終わりがない。
ならばもう、作戦を変えるしかない。
僕は態度を一変させ、汚いその人間たちに降伏したかのように見せかけることにした。
どうやら、あの男はまだ生きている。
つまりは、僕は人を殺していない。
だから、そんなに長くは檻に入れられないはず。
だったら、こいつらの望むように、改心したふりして、すぐに釈放されればいい。
そしたらまた、レイアに会いに行って、今度こそ僕と2人きりで長い旅に出るんだ。
その頃にはきっと、レイアも僕のことを分かってくれているはずだから。
その時にまたレイアを迎えにいけばいい。
それまでは寂しい思いをさせるだろうけど、きっと全部、レイアは分かってくれる。
そして、その時にまたプロポーズをしよう。
今度こそ、レイアは首を縦に振ってくれるだろう。
そう信じて、僕は降伏したふりをした。
そして直に来るレイアとの旅を待ち望みながら、檻の中で今日も、誰にも邪魔されずに2人で過ごす、僕だけのレイアとの時間に思いをはせている。
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