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「栗」「つむじ風」
「栗」
お店で買える甘栗が大好きだ。殻がついていないから食べやすくてついつい口に放り込んでしまう。
炊飯器にお米と一緒にいれて栗ご飯にしてもおいしい。ほろほろに崩された栗の甘みと振った塩が良い感じ。
この時期になるといつも買ってしまうのだが、やはりモソモソしてるもんで、喉が乾くのが玉に瑕。
(作:月輪あかり)
子どもの頃、甘栗が嫌いで仕方なかった。お菓子コーナーに売っている殻のついていない甘栗なんか特に駄目だった。口に入れるのが嫌で嫌でたまらなかった。そんな私も二十を越した。甘栗の美味しさも知った。だけど――。テレビで流れる映画。やっぱりE.T.の頭を食べているようでいささか気分が悪いのだ。
(作:針間有年)
***
「つむじ風」
昔校庭で遊んでいるとつむじ風が立った事がある。枯木も多く、マフラーをして厚着でランドセルを背負ってるような子供の頃の話なんだけど。
その時好きな女の子のマフラーがつむじ風に飛ばされちゃってさ?
自分のマフラーを彼女に巻いて、つむじ風の中に飛び込んだ当時の僕は、最高にかっこよかった。
(作:月輪あかり)
この街の人は秋になると穏やかになる。理由はわからない。ある日、公園で散歩してると、びゅっ、とつむじ風が吹いたんだ。そして、見ちゃった。砂と一緒に皆のイライラが空に舞い上がって、隣の街に飛んで行くのを。わかっちゃった。どうして秋になると、この街が平和で、隣街では戦争が起こるのか。
(作:針間有年)
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