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「はじめまして、私はティナ。あなたは?」
ダニタが後ろで「あれま……」と声を上げている。
少女はにっこりと笑顔を浮かべた。
「あたし、モニカ。お姉ちゃん、綺麗な人だね。美人だね」
「えっ、と」
掛け値無しに褒められてどうしていいか迷っていると、台所からニウカがやってきた。
「あーっ、もうモニカ。ダメじゃない、二階で大人しくしてなきゃ」
「ニウカお姉ちゃん、また怒る。キライ。ティナお姉ちゃん好き」
そうしてモニカは「抱っこ!」といわんばかりに手を広げる。
ティナは反射的にモニカを抱き上げていた。
子供特有の高い体温が服越しに伝わってきて、ふと昔の記憶が甦る。
ファースト・フロントの孤児院『灯火の揺り籠』で育ったティナにとって、年下の子供達の面倒を見るのは日常茶飯事だった。
子供に強く出られないのは今も昔も同じ。
何故か子供にだけは好かれるのも。
現にモニカはティナの首に腕を回し、ぎゅうっと抱きついている。
「ティ、ティナさん。ごめんなさい! モニカったら……」
「いいのよ」
甘んじてモニカの抱擁を受けているティナにニウカも目を瞠っている。
薄氷のようだと称されるくらいだ。
周囲から見える自分の性格ぐらいは自覚しているし、それはあながち間違いではないのだが、どうも今の姿はそれとギャップがありすぎるようだった。
しかしニウカはすぐに嬉しそうに目を細めた。
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