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「ありがとうございます、モニカを可愛がってくれて。モニカは甘えん坊なんです。親の顔を知らないで育ったから……」
ニウカの表情がやや寂しげに曇る。
ティナはモニカを床に降ろし、じっとニウカを見つめた。
ニウカは気まずそうに苦笑する。
「魔獣のしわざだったようです。……実は私も物心つく前のことだったので、おばあちゃんに聞いた話なんですけど」
「ナウマンは幾度もこの村に災厄をもたらしました」
ダニタがしわがれた声で話を引き継ぐ。
その目尻には透明な雫が浮かんでいた。
「私も息子夫婦を——この子達の親を亡くしました。ティナさん、どうかこの村を救ってください。お願いします」
ダニタは祈るように手を合わせ、ティナに頭を下げた。
事は彼女達の、ひいては集落の運命を左右する。
ティナもまた神妙に頷いた。
「承りました」
その時だった。
ダニタの家のドアが外側から弾かれたように開いた。
雪にも耐えられるよう丈夫なはずの木製ドアは、蹴破られたのかその一部が破損していた。
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