46人が本棚に入れています
本棚に追加
終業のチャイムが鳴ってからだいぶ経って、チャーウィン教授は研究室に戻ってきた。
「おい、ピッピ、モカさんは来ていないのか」
「申し訳ありません。私めだけでございます」
「仕方ないな。今日のところはピッピ君で我慢するか。お、衛士長、また私の講義を聞きに来たのかい」
「教授、お久しぶりです。ええ、教授の素晴らしい講義をぜひ拝聴させて戴きたく…」
教授とピッピ君のやりとりを聞きながらささやかな軽口を二、三言交わすのも、いつもの風景である。
ルートブリッジがチャーウィン教授と知り合ったのは、ネオヤードに来てからではない。
もともと二人共に帝国の南端に位置するニステイト郡の出身だ。
チャーウィン教授はニステイト郡の小さな都市サンダスタン出身、ルートブリッジは更に極小都市のオーシャニア出身。
ルートブリッジがニステイト郡部の衛兵を務めていた時代、ある事件がきっかけで教授と知り合うことになった。
最初のコメントを投稿しよう!