2.チャーウィン教授という人

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 終業のチャイムが鳴ってからだいぶ経って、チャーウィン教授は研究室に戻ってきた。 「おい、ピッピ、モカさんは来ていないのか」 「申し訳ありません。私めだけでございます」 「仕方ないな。今日のところはピッピ君で我慢するか。お、衛士長、また私の講義を聞きに来たのかい」 「教授、お久しぶりです。ええ、教授の素晴らしい講義をぜひ拝聴させて戴きたく…」  教授とピッピ君のやりとりを聞きながらささやかな軽口を二、三言交わすのも、いつもの風景である。  ルートブリッジがチャーウィン教授と知り合ったのは、ネオヤードに来てからではない。  もともと二人共に帝国の南端に位置するニステイト郡の出身だ。  チャーウィン教授はニステイト郡の小さな都市サンダスタン出身、ルートブリッジは更に極小都市のオーシャニア出身。  ルートブリッジがニステイト郡部の衛兵を務めていた時代、ある事件がきっかけで教授と知り合うことになった。
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