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タバコの匂いをする隣側の仕切り壁に寄りかかる。
「兄さん、おはよう」
「ああ、藍。おはよう。今日も早いな」
お互い顔は見えないが、どんな表情をしてるか見なくてもわかる。
ふーっとタバコをふく音が聞こえた。
「兄さん、苺食べる?やっと今日食べごろになったんだ」
「うん、ちょーだい」
僕は一番大きな苺をつみ、ベランダから隣にいる兄さんのもとに手を伸ばした。
僕はそこそこ身長は高いが、兄さんはさらに高く、腕も足も長いため、お互い手を伸ばせばギリギリ届く。
そして僕の手に大きい手が触れて、苺を渡せた。
「なに、こんな大きいの、いいの?」
「うん、まだまだ苺はあるから」
「サンキュー」
僕は朝日を眺めながら、嬉しさをしみじみ感じた。
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