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兄さんはマンションを出て6ヶ月後、結婚式を挙げた。 それから兄さんとは年に3、4回しか会っていない。 中学3年生になってばかりの僕は受験先がなかなか決まらなかった。 成績は良い方だったため、逆に選択肢が広くなり、決めることができなかった。 まだどこの高校に行くか悩んで焦っていた11月の頃。 「藍九郎ちゃん、受験先はきめたの?」 僕はいつもどおり暁美家で料理を教わる。 お父さんは仕事で帰りが遅いため、僕は週に2、3回、家事全般出来るようにおばさんに習っていたのだ。 そしてそれ以外は帰宅後は受験勉強に没頭している。 「まだきめてないな」 「そうなの、せれなちゃんは決めてるらしいわよ」 「そうなんだ、知らなかった」 「12月には最終決定しないとね。藍九郎ちゃんの成績ならいいところいけるはずよ」 「学校多くて悩んじゃうな」 「そうだ、神奈川の海老名の方なんだけど、巴坂高校はどうかしら?」 神奈川の海老名って急行電車で40分くらいじゃないか。少し遠いな。 「来年ね、氷菓がそこの高校に英語教師としていくのよ!」
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