降ってきたタマ

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 ぽちゃんっ  頭上の湖面が音を鳴らした。  また誰かが何か落としやがった。  俺は仕方なく身支度を整える。  ゆらりゆらりと浮力を感じながら小さなものが落ちてきた。  今度はなんだ?  湖底で休んでいた俺は、ゆらゆらと落ちてきたそれを手に取った。  玉だった。  ほぼ丸のタマ。  引き出しを開けて、似たようなタマを二つ用意して浮上した。  湖のほとりにいた男に声をかけた。 「おぬしが落としたタマは、この金のタマか、銀のタマか、それとも普通のタマか」  男は間髪入れずにこう答えた。 「僕が落としたのは、普通のキンタマです」  ??? 「普通のタマか、金のタマか」 「だから、普通のキンタマです」  俺は手に持っていた全部のタマを男に投げつけ湖底に戻っていった。
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