1.終わりと始まり

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ママは体が弱くて、あまり遠くに行ったり出来ない。私はいつもママの買い物について行って、買ったものを持つ。 まだ体が小さいから早く大きくなりたいといつも思う。そしたらママの買ったものを全部持てるから。 いや、ママの代わりに買い物に行くことだって出来る。家の中でのお仕事も全部私がする。そしたらママはゆっくり出来て、きっと体もよくなって、家族で遠くへ出かけたり出来るようになる。 ママは頑張り屋さんだから、疲れてても頑張る。もうママに世話をかけなくていいように、早くなりたい。  パパも頑張り屋さんだ。今日も疲れた顔で帰ってきた。どんなにしんどくても、パパが帰ってきたら笑顔でおかえりなさいということが、ママとの秘密の約束だ。パパは毎日、私とママのために朝から晩まで働いてくれているから。パパにもたくさん感謝しないといけない。  でも最近、パパの帰りが遅くて、私は我慢できず先に寝てしまう。朝起きてパパがいないことも度々あった。お仕事が忙しくてね、とパパは疲れた顔でも笑っていう。  ママも最近体調が悪そうだ。いつも飲んでいる、病気を治すお薬の数が増えた気がする。家のお仕事をしなきゃいけないからと無理矢理起き上がっても、ふらふらしている。 そんなママをベッドに戻して、代わりに私が家のお仕事をする。毎日手伝っていたから、することはわかっている。だから最近は私が一番に起きるようになった。近所の人に「小さなお母さん」といわれるのが嬉しかった。私もママみたいにちゃんとしているように見えるのだと思ったから。 そんな近所の人も時々手伝いに来てくれる。みんないい人ばかりだ。
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