1.終わりと始まり

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ある日怖いことが起こった。お昼過ぎ、サガと他の子どもたちと一緒にかくれんぼしていた時だった。サガがオニで、私と他の子たちは一斉に隠れる。隠れ場所を探していると、どんっと誰かにぶつかった。 「ごめんなさい。」 そういって頭を下げてから見上げると、そこには怖い見た目の、若い男の人が立っていた。その人は私を見るなり 「ユナっていうのはおまえか?」 といった。私はびっくりして何もいえなかった。 「まあいい。」 男の人はそういうと、いきなり私を持ち上げたのだ。 「おろして!」 「うるせぇガキだな。黙ってねぇと痛い目に遭わすぞ。」 抵抗する私に低い声でいいつける男が、私は怖くなって黙ってしまった。 でも、もしどこかに連れて行かれて、もし家に帰れなかったら。みんな心配するし、ママがまた頑張ってしまう。 私はここにいなきゃいけない。 私はそう思いたって、思い切って肩に担がれてる状態から男の首元を殴った。最初はうんともいわなかったが、段々苛ついてきたのか、男は私を落とした。そして思い切り、私を蹴ったのだ。こんな痛い思いをしたことは今までにないくらいの衝撃だった。私は泣くしか出来なかった。 「おめぇの親父が悪いんだ。借りた金いつまでも返さねえから。おまえを売ればチャラになる。おまえの親父は否定しなかった。おまえは売られたんだよ。」 何をいってるか全然わからない。 パパが私を売った? 「パパは...そんなことしないよ。パパは私のこと大好きなんだもん。」 するとその男は笑った。 「おまえの勘違いだなそりゃ。家か、自分か、女かおまえか。売るものの中でおまえの親父は、おまえを選んだ。厄介払いでもあるんだろうけどな。」 わかんない。何言ってるか、全然わかんない。    
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