1.終わりと始まり

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「わかったらさっさと...」 「ユナ!」 幸い、そこにサガが駆けつけた。 「おいユナ大丈夫か!?」 サガが私を抱き起こす。私はまだ泣いていた。 「おまえ...」 サガは男を睨みつける。 「何だおまえも売られてぇのか?」 「母さん呼んできたからもう大丈夫だからな。」 サガはいう。私は泣きながらも頭を何度も縦に振った。 「親を呼んできたって同じことさ。こいつが売られることはもう決まってんだ。」 「さっきから何訳わかんねぇこといってんだテめぇ!」 「おいおい大人に口聞くときゃちゃんとした言葉遣いしろよな、ガキのくせに生意気だ。」 「サガ!」 すると、サガのママが駆けつけてきた。 「あんたこの子たちに何したのさ!」 「何って、俺は仕事しに来ただけさ。このガキを身売りの店に持って行くって仕事をな。」 「人んちの子を勝手に連れて行っていいとでも思ってんのかい!」 「勝手に?あたかも俺が悪者みたいじゃねぇか。俺はちゃんと了承を得たんだ、こいつの親父にな。」 「何いってるんだよ!なんかの間違いだ、この子は連れて行かせないよ!」 「上等だ、かかってこいよ。」 「もうすぐうちの旦那が来る。旦那はね、強いんだよ。かなうと思うかい?」 「奇遇だな。俺も同じだよ。早く呼んでこい。」 「お呼びかな?」 サガのパパの声だ。 「おまえか。」 「いかにも、俺がこの夫だ。状況はわかってないが、こいつを追い払えってことでいいんだよな?」 「そうさ、頼んだよ。」 「任せとけって。」 「あんたたちは行くよ。」 そういってサガと私を連れてサガのママはその場を離れた。後ろでは乱闘する声が聞こえていた。
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