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広すぎるキングサイズのベッドが、音なく軋んだ。
うとうとと眠りかけていた私の隣に、いつもどおり彼がやって来たのだとぼんやり思う。
心を鎮めてそのまま眠ろうとしたけれど、彼はまるで最愛の恋人に触れるかのように優しく、私の髪をすいていく。
「今の関係、僕の方から終わりにするつもりはないので。もし飽きたら教えてくださいね」
その言葉に驚いてそっと瞳を開けた。心の中を読まれてしまったのかと思った。
ぽつんと壁に灯ったオレンジ色の間接照明に照らされた彼は、なんでも見透かすような瞳で、まっすぐに私を捕えている。
私は何度この瞳に捕まったら懲りるのだろう。
思わず飛び跳ねてしまった心臓を誤魔化すためすぐに視線を落としたけれど、そもそも寝たフリでもできれば利口だったのかもしれない。
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