8 弱さも

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私の鼓動を高めておきながら、真さんはさらっと切り替えて洗濯機の蓋を開け中を覗き込んでいる。 どうしたら、私はもっと真さんの力になれるだろう? 「どれも似たりよったりでよく分からないな。美子の気に入ったものにしよう、どれがいい?」 「えっ?」 「美子が1番使うでしょう?」 それは、そうだけど……。 確信犯なの? 天然なの? 私を困らせて楽しんでいる風でもないし、彼の本心が分からない。 「えっ……と、私もよくわからないので、店員さんにおすすめを訊いてみませんか?」 「そうしよう。美子は見ていて」 真さんは、颯爽とレジカウンターの方へ向かって行った。 そろそろ私の心臓がもたないよ……。 「櫻井さん?」 突然だった。背後、つまり真さんが向かった方とは反対側から声をかけられた。驚いて振り向くとスーツの男性がいて、私と目があった瞬間、人懐こい笑顔になった。
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